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大阪の税理士・公認会計士事務所

税理士・公認会計士が教える法人税の節税教室 大阪市北区の公認会計士・税理士事務所です

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□ 税理士・公認会計士が教える法人税の節税教室

 

1.固定資産取得に伴う付帯費用の会計処理

 
2.役員退職金の取り扱いについて


3.子会社等や事業関連性の強い取引先に対する経営支援について

 
4.執行役員就任時の税務上の留意点について


5.理想的な節税について

 
6.節税における会社での記帳の必要性について

 
7.製造設備の評価減について

 
8.貸与資産に対する増加償却の適用について

 

 


■ 1. 固定資産取得に伴う付帯費用の会計処理

 

当会計事務所に寄せられた質問とその回答です。
(回答者:公認会計士・税理士 伊藤誠一)

<質問>

 
今まで賃貸ビルに入居しておりましたが、手狭になったため中古建物(宅地付)を購入することになりました。売り主と売買価額を交渉するための不動産鑑定料、仲介手数料、登記諸費用並びに売り主が支払った固定資産税相当額を支払うこととなりましたが、これらの支出は、費用として会計処理しても大丈夫でしょうか。

<回答>


建物並びに土地の取得に際し、支払った不動産鑑定料、仲介手数料や固定資産税相当額は、その建物並びに土地の取得価額に算入することとなり、損金に算入することはできませんので、経費処理せず建物と土地の取得価額に含めて資産計上して下さい。

 

(理由)
税法上、固定資産の取得価額は、次の金額とされています。
@購入の代価(引取運賃、運送保険料、購入手数料などその資産を購入するために要した費用がある場合には、その費用を加算した金額)
A当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額

 ご質問の固定資産の取得に係る付随費用のうち、不動産鑑定料及び仲介手数料は、購入のために直接要した費用であり、取得価額に含めることとなります。


次に、取得価額に算入しないことのできる租税公課などとして、
@不動産取得税又は自動車取得税
A特別土地保有税のうち土地の取得に対して課されるもの
B新増設に係る事業所税
C登録免許税その他登記又は登録のために要する費用


これらの租税公課などが例示されています。
これらについては、一種の事後的費用であったり、流通税的なものであったり、さらに第三者対抗要件を具備するための費用であること等から必ずしも固定資産の取得価額と言い切れない面があります。


ですから、登記諸費用については取得価額に算入するかどうかはの判断は法人に任せることとなっています。 さて、ご質問の売り主に支払った固定資産税相当額は、次の理由から取得価額に算入しないことができる租税公課等には該当致しません。本来、この固定資産税の納税義務者は、課税基準日の所有者である売り主です。となると、売り主が負担すべぎ費用(税金)ですから、本来は譲渡価額に反映すべきであり、譲渡価額の補正に過ぎないものです。 また、この固定資産税相当額は売買に伴って支払われるものであり、事後的な費用とは言えず、費用処理(損金に算入)することはできません。よって、固定資産税相当額は、不動産鑑定料及び仲介手数料と同様にその建物と土地の取得価額に算入することとなります。

 なお、これらの付帯費用は建物と土地の時価等、妥当な金額の比率をもって案分してそれぞれの取得価額に算入することが必要です。

■ 2. 役員退職金の取り扱いについて

 

当会計事務所に寄せられた質問とその回答です。
(回答者:公認会計士・税理士 伊藤誠一)

<質問>

 
私(68歳)が創業した会社の社長として長年経営にたずさわって参りましたが、創業直後に入社し、会社の発展を支えてくれた専務取締役(56歳)に社長を交代してもらおうと考えております。
ただ、将来は長男(37歳)に会社を引き継がせたいと思っていることから、当分の間は相談役的な立場の取締役(代表権なし)として会社に残りたいと考えております。
社長を退く段階で退職金を受け取ることは税務上問題ないのでしょうか。

 なお、会社の株式の70%は私と妻が保有しており、後任となる専務が10%、その他の従業員が10%、私の知人が10%を保有しております。

<回答>


 本来は完全に退職されていないわけですから、退職慰労金を支給することができないのですが、代表取締役社長が代表権のない取締役や監査役になる等の役員の分掌変更を行った場合に、退職したと同様の事情にあると認められるものとして,


@常勤役員が非常勤役員になったこと
A取締役が監査役になったこと
B分掌変更等の後における報酬が激減(おおむね50%以上の減少)したこと

以上を満たせば、役員退職慰労金を法人の損金とできるものと法人税基本通達に規定されています。

 また、この通達の背景には「・・・実質的に分掌変更後も重要な責務を果たしている場合は退職とは認められない・・・」との高裁判決に対する納税者の上告が最高裁で不受理になったことがあると思われます。

 つまり、実質的に社長等従前の経営上の主要な地位から、身を退かなければ役員退職慰労金の損金算入は認められないものであり、上記@についても「分掌変更等の後においてもその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く」の注書があります。

 ご質問の内容からは、社長を専務に譲られるとのことで、経営上の意思決定等に関与されず、非常勤で長年の知恵を会社に貸すような関わり方となるのでしたら、退職金を受け取られても法人税法上の問題は生じないと思います。

  ただ、株主総会での特別決議を得るだけの株式を社長と奥様で保有されていることから経営上の意思決定に大きく関与されていると当局から認定される危険性もあります。
税務調査では、退職の有無は「実態をみて判断する」解釈がなされてきており、実態的に経営から退いておられることを主張できるような状況が必要かと思われます。

 例えば、社長交代について得意先や取引銀行等に通知し、経営上重要な取引についても後任となる専務が意思決定の中心となり、現社長が関与していないと認められる状況が必要かと思われます。

■ 3. 子会社等や事業関連性の強い取引先に対する経営支援について

 

当会計事務所に寄せられた質問とその回答です。
(回答者:公認会計士・税理士 伊藤誠一)

<質問>


当社は工作機械の製造業を営んでおり、販売を委託している会社(出資関係はなし)が地域毎にあります。
近年需要の落ち込みから、各社に運転資金を融資しておりますが、そのうち一社の経営状況が特に厳しく、更なる支援を要請してきております。

 具体的には、@貸付金利息の棚上げ、もしくは減額、A元本の一部免除を懇願されております。
同社には、九州地区の販売の他、同地区ユーザーに対するメンテナンスも任せていることから、倒産されるとアフターサービスに影響が出ることが予想されます。

 貸付金利息の棚上げや、貸付金元本の債権放棄は、相手先に対する寄附金とされる可能性があると聞きました。
当社としては支援は必要と考えますが、寄附金として損金に算入されない金額があるならば、別の支援方法をも考えなければなりません。

<回答>


法人が寄附金を支出した場合には、当期の所得金額(正確には少し違います)と資本金等を基準とした一定の限度額までしか、損金の額に算入されないこととされておりますので、債権放棄等の寄附金と認定されるような取引をすれば、多額の損金不算入額が生じ、法人税等の税負担が増えることとなります。

 ただ、次のような事情がある場合には、無利息による貸付や債権放棄も寄附金の額に該当しないものとされています。

 まず、業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので合理的な再建計画に基づくものである等、相当な理由があると認められることが前提となります。


そして、合理的な再建計画かどうかについては、


@支援額の合理性
支援を受ける者の財務内容な営業状況等を勘案して算定しているか。
A支援者による再建管理の有無
当社が支援を受ける者の再建状況を把握し、順調に再建が進んだような場合には計画期間中でも支援を打ち切る等の方針が決まっているか。
B支援者の範囲の相当性
支援を受ける者との事業関連性の強弱や支援規模、また、支援能力等から支援者の範囲が相当な範囲であるか。
C支援割合の合理性
出資や経営参画の状況、融資状況等の事業関連性の強弱や、支援能力からそれぞれの支援割合が合理的に算定されているか。

 これらを総合的に判断し、合理的な再建計画であるかどうかをそれぞれの事例毎に判断することになります。

  なお、貴社の場合、販売を委託している会社と資本関係がないとのことですが、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有する者であるかどうかを判断することとなっており、販売ルートとしての事業関連性が大きいことから、その他の要件を満たせば、寄附金として処理する必要はないと考えられます。
例えば、社長交代について得意先や取引銀行等に通知し、経営上重要な取引についても後任となる専務が意思決定の中心となり、現社長が関与していないと認められる状況が必要かと思われます。

■ 4. 執行役員就任時の税務上の留意点について

 

当会計事務所に寄せられた質問とその回答です。
(回答者:公認会計士・税理士 伊藤誠一)

<質問>


当社では次期より執行役員制度の採用を検討しています。

 現在、取締役に登用している者であっても経営者意識に欠く者については取締役を解任し執行役員にしようと思います。
逆に、部次長クラスの者にも事業部門を統率できる優秀な者が育っており、これらの者を(業務)執行役員に登用したいと思います。
税務上、留意すべき事項があればお教え下さい。

 なお、当社では今まで使用人から取締役に登用した際には、使用人としての退職金を支給しておりました。

<回答>


(執行役員とは?)


執行役員であっても会社法上の取締役として法務局に登記されなければ、会社法上は役員ではありませんし、法人税法上も「みなし役員」に該当しない限り、執行役員は使用人に過ぎません。(執行役員であっても取締役として登記されれば、当然に会社法上も法人税法上も役員となります。)

  執行役員は,「役員」とあたかも会社法上の役員と混同しやすい名称がつけられていますが、会社法で定められた取締役や執行役、監査役といった法律上の役員ではありません。
また、会社での法律上の職責は、取締役により決定された経営方針に基づき、特定の部門の業務を執行する責任者に過ぎず、重要な地位にある使用人と言えるでしょう。

 つまり、法人税法では、執行役員は原則として役員ではなく「使用人」として取り扱われることになります。
ただ、取締役でない執行役員であっても、会社経営の意思決定に関与しているような方は、「法人の経営に従事しているもの」として、「みなし役員」とされる可能性があります。
特に、専務(常務)執行役員などの役付執行役員は、「みなし役員」として税務当局に認定される可能性が高いでしょう。

<執行役員の報酬の取扱について>

(以下、取締役としての登記がないものとして)

さて、執行役員が責務の重い職務につくものの、法的には使用人であることを考えますと、法人税法による役員報酬の規制(定時定額払や事前届出役員報酬)を受けず、その者の成績や会社の業績に応じた給与賞与の支給が可能となります。
(使用人が執行役員になる場合の退職金は?)
使用人が執行役員となる際に、退職金を支給すると税務上どのような取扱になるのでしょうか。

 部長等の使用人であった方が執行役員となるのは、使用人がより地位の高い使用人になったに過ぎません。
ですから、本来は退職金を支給するべき理由はありません。

 しかしながら、従前、使用人が取締役に就いた際に、退職金の打ち切り支給をされておられましたから、これと同様に扱い退職金を支払うには、以下の要件に該当する必要があります。
  ・執行役員との契約は,委任契約またはこれと同等であり、執行役員退任後の(通常の)使用人としての再雇用が保障されていないこと。
・執行役員の報酬、福利厚生などは役員に準じたものであること。
・執行役員は、その任務に反する行為などにより会社に損害を与えた場合、その損害を賠償する責任を負うこと。
これらの要件を満たす場合には、使用人が執行役員に就き、退職金を支給したとしても、退職金の性質があるものとして、受け取った本人は退職所得となり、法人税法上は損金とすることができます。

 つまり、会社法上の役員である取締役や監査役と同様の契約関係と責務があるならば、執行役員就任時に退職金を支払うと、会社では損金処理ができ、受け取った本人は退職所得とすることができます。
上記の要件を満たさない場合には、会社で損金処理することは可能なのですが、受け取った本人については、税務上、昇格に伴う賞与を受給したものと扱われ給与所得として課税されることとなります。

 次に、取締役が執行役員になった場合には、取締役を退任したことによる退職金の支給が可能ですが、様々な留意点がありますので、当会計事務所までお尋ね下さいますようお願い申し上げます。

 

■ 5. 理想的な節税について

 

当会計事務所に寄せられた法人税の節税に関する質問とその回答です。
(回答者:公認会計士・税理士 伊藤誠一)

これは、法人税だけでなく、所得税にも共通する話題です。

<質問>


先日、ある無料メールマガジン読んでおりましたら、良い節税と悪い節税があると書いてありました。
悪い節税は脱税だと思って読み進んだのですが、全く違うようで、良い節税は難しいけれども、一番効果的な節税だと書いてありました。
詳細は有料メールマガジンを購読しなさいとのことで、どういうことなのかお教え下さい。

 

<回答>
(本当の意味の節税とは?)


確かに、そのメールマガジンに書いてあるとおり、良い節税はなかなか適用を受けられるものを探すことが、中小企業の場合、難しいかも知れません。
ただ、良い節税は、法律上、中小企業しか減税措置を受けることができないものが多くあり、税制、特に新しい制度には注意が必要です。

 まず、節税を以下に分類してみることに致します。
1.永久節税・・・・・・・・・・・・・・・・・・とても良い節税
2.固定資産投資等のよる節税・・・・・・・・・・・・・良い節税
3.経費の先取りのよる節税・・・・・よく考えないといけない節税
4.無駄遣い節税・・・・・・・・・・・・良くない(悪い?)節税

1.永久節税
文字通り、永久的な節税となるものでこれを一番活用したいところです。
@中小企業者が機械等を取得した場合等の法人税額の特別控除
A試験研究を行った場合の法人税額の特別控除
B教育訓練費が増加した場合の法人税額の特別控除
C情報基盤強化設備を取得した場合の法人税額の特別控除
D事業基盤強化設備を取得した場合の法人税額の特別控除
E所得税額控除、外国税額控除

 
など、多数の税額控除が税制上用意されています。

ところが、これらについては、取得価額の下限があるある程度の金額を超えなければならず、本当の小規模事業者には適用が難し場合もあります。
何よりも、「税額控除」ですから課税所得金額あって初めて、これらの適用を受けることができるのです。
節税するにも利益を確保していないと税額控除の適用が受けられない(特別償却と選択適用のものは特別償却で代替することも可能です。)のです。
また、個人事業者の方についても、Eの所得税額控除以外は、ほぼ同様の制度があります。

いずれも、適用を受けるにはそれぞれいくつかの条件を満たす必要がありますから、詳しくは当事務所へご相談下さい。
当事務所におきましてもこれらの他、良い節税ができないかと皆様方の作成された帳簿書類を拝見しながら検討しておりますが、会社から事業の状況や事業計画について、よりオープンにお話頂きますと「とても良い節税策」を提案できる可能性が高まるかと思います。

2.固定資産投資等のよる節税
固定資産を取得すれば、その資産の耐用年数を通じて減価償却費として、固定資産の取得価額が費用化されていきますが、税法で定める一定の固定資産を取得した場合には、通常の減価償却費とは別に特別償却をすることができます。
@中小企業者が機械等を取得した場合等の特別償却
A情報基盤強化設備を取得した場合の特別償却
B事業基盤強化設備を取得した場合の特別償却
C医療用機器等の特別償却等
D倉庫用建物等の特別償却
これらの特別償却は減価償却費を原則として、取得した年に一定額先取り計上できるものですから、経費の前倒し計上に過ぎず、永久節税ではなく経費の先取り計上による節税ですが、固定資産を取得した時には付帯費用も生じており、次年度における資金繰り改善には役立つものです。
これも「良い節税」に入ります。これも、税額控除と同様に個人事業者の方についても、@〜Dすべてにほぼ同様の制度があります。

3.経費の先取りのよる節税
経費先取りによる繰延節税にも色々あって、
@長期的な計画により生命保険契約や損害保険契約を締結して、その解約金が入る段階で解約金相当額の費用を使用する方法
A短期前払費用の規定を活用して、当年度から次年度まで継続する費用で当年度中に支出することにより費用の先取り計上するもの方法
B貯蔵品と認定されない程度の消耗品を決算期末に慌てて買い込む方法
色々な経費の先取り計上による、いわゆる「繰延節税」が行われています。

 いずれにも共通して、注意しなければならないことですが、不要な物、不要な契約をしてまでも「節税」するのは本末転倒です。
仮に、10万円分の事業には使わない(使えない)物を節税になるとの理由で購入しても、実効法人税率が(最高で)42%程度とはいえ、4万2千円の節税になりますが、他に10万円の支出をしているのであり、差引5万8千円のキャッシュアウトになります。
全く事業に不要な物を購入されることはないと思いますが、不急のものを買ってまで節税したとしましても、広告宣伝をするとか省力化を図れる機器を導入する等、そのお金を有効に生かして利益を生むことに知恵を絞る方が良いでしょう。

 この節税方法は、良い場合もあれば良くない場合もあることを考えなければならない節税方法です。

4.無駄遣い節税
私はよく無駄遣い節税と呼んでいますが、利益が出すぎたからと全社員一律の基準でバラマキ的な決算賞与を支給されたり、北新地や祇園で一大宴会を開かれる場合もあります。
決算賞与が悪いと言っているのではなく、各社員の業績や会社への貢献度に応じて決算賞与を支給されるのは、社員のモチベーションを高めるために有効でしょう。
でも、働きの悪い方にも同じ基準で賞与を支給するのはどうしたものでしょう。その方たちに甘い考えを持たれるだけでなく、できる社員のやる気をそぐことにもなりかねません。 また、福利厚生の一環として親睦のための宴や、取引先との関係を深めるための接待は大切ですが、節税のためとはいえ使いすぎは禁物です。
費用対効果を考えての支出を心がけましょう。

 なお、脱税(売上を計上しない、架空の経費を計上する等)はその税額に加えて、税額の35%もしくは40%重加算税が賦課されるだけでなく、法定申告期限から追徴税額を納めるまでの金利に相当する延滞税が年利14.6%の率で課税され、場合によっては、更に罰金刑や懲役刑を受けることがあり、許されるものではありません。

5.節税の本当の目的は?
節税を心がけなければならないことは非常に大切なことです。
でも、本当に大切なことは、法人税や事業所得・不動産所得による所得税では将来の事業資金を蓄えるため、所得税全般では将来の生活資金などをより豊かにするための節税であると考えることが大切だと思います。

 節税プランと事業計画は切っても切り離せない関係にあり、大きな設備投資(建物や機械設備)に関しては、事業によっては消費税も含めて、タックスプランニングをする必要があります。
先にも書いておりますとおり、事業計画立案についても、お気軽に当会計事務所へご相談下されば幸いに存じます。

■ 6. 節税における会社での記帳の必要性について

 

当会計事務所に寄せられた法人税の節税に関する質問とその回答です。
(回答者:公認会計士・税理士 伊藤誠一)

これも、法人税だけでなく、所得税にも共通する話題です。

<質問>
(なぜ自分で記帳しなければ節税できないのですか?)

 
先日、他の会計事務所のホームページを見ておりましたら、総勘定元帳の記帳や試算表の作成は小規模事業者でも自社(自分)ですることが、節税に有効であると書いてありました。
私は、現金出納帳、預金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、経費元帳を作成して、これらを会計事務所に預けていますから、節税できるように会計事務所で判断して頂けるものと考えております。
私の考え方が間違っているのでしょうか。

<回答>
(記帳の必要性について)


当会計事務所のお客様でも3分の1ぐらいのお客様から、総勘定元帳の記帳や試算表の作成のご依頼を頂いております。
ご質問頂いたように各種の元帳から総勘定元帳を作成していくことになり、前問にご紹介したような節税策が採れる可能性がある場合には、関連証憑(請求書・見積書や契約書等)のコピーを頂いております。

  当会計事務所で記帳をさせて頂く場合には、各種の元帳などを元にしてパソコンへ入力作業をすることに時間を取られがちになります。
こちらも限りのある時間で仕事をさせて頂いていますから、手元に頂いていない資料の確認はなかなか難しいものとなります。

 会社ご自身で記帳されている場合には、こちらからお伺いして現金預金や借入金の照合に始まり、売掛金や買掛金の台帳との照合をするほか、前問でご紹介しました税額控除や特別償却等に関わる費目の関連証憑確認をさせて頂くことに十分な時間を取ることができます。

 ただ、会社ご自身で記帳される場合には、毎月々合わせるべきところを会社で合わせて頂く必要があり、これが十分にできていない会社は正しい損益や財政状況が把握できなくなります。

 会社ご自身で記帳されることも大切ですが、貸借項目(資産および負債項目)を全て完全な形にされないと損益が合わないことを十分にご理解頂きたいところです。
「損益は合っていますから・・・」と仰っていても、貸借項目があっていなければ最終的に損益に影響があることに気づいておられない方が大半です。

 昔の会計事務所(税理士事務所)は確かに総勘定元帳や試算表の作成請負業が業務の中心でした。
パソコンが安くなり、総勘定元帳や試算表の作成が簡単になった現在では、会社ご自身が作成された帳簿の見直しから、節税プランニングや経営計画作成のお手伝いが業務の中心となっております。


いくら簡単になったと言っても、簿記を知らない方が市販の会計ソフトを使用されると間違いの方が多くなりがちです。

 簿記の知識に自信がない方は、会計事務所からインターネット経由で会社の会計ソフトをコントロールできるものがありますから、このような会計ソフトをご利用下さればと存じます。





■ 7. 製造設備の評価減について

 

当会計事務所に寄せられた法人税の節税に関する質問とその回答です。
(回答者:公認会計士・税理士 伊藤誠一)

こちらも、法人税の規定と所得税の規定は同様の規定になっております。。

 

<質問>
 

 当社は電子部品製造業を営んでおります。当社の営む業界の技術革新のスピードは大変速く、5年前に取得したフラッシュメモリ製造ラインが既に陳腐化致しました。この製造ラインを評価減(減損処理)したいのですが税務上、容認されるでしょうか。

<回答>

 

法人税法には、固定資産の価値が減少したことによる評価減を認める規定はありません。
例えば、以下のような事実に基づく固定資産の評価減は認められないことになっております。
(@過度の使用又は修理の不十分等により当該資産が著しく損耗していること。
(A当該資産について償却を行わなかったため償却不足額が生じていること。
(B当該資産の取得価額がその取得の時における事情等により同種の資産の価額に比して高いこと。
(C機械及び装置が製造方法の急速な進歩等により旧式化していること。
本件は、上記Cに当てはまるものと考えられ、貴社のフラッシュメモリ製造ラインについては税務上、その評価減を損金とすることは認められません。
しかしながら、減価償却資産が技術の進歩その他の理由により著しく陳腐化したと認められる場合には、納税地の所轄国税局長の承認を受けることにより、陳腐化した減価償却資産の償却限度を修正することもできます。
また、資産が陳腐化したことにより、その使用可能期間が法定耐用年数に比して著しく短くなったときは、納税地の所轄国税局長の承認を受けて耐用年数を短縮することができます。
これらにより未償却残額を早期に償却することができます。




■ 8. 貸与資産に対する増加償却の適用について

 

当会計事務所に寄せられた法人税の節税に関する質問とその回答です。
(回答者:公認会計士・税理士 伊藤誠一)  

<質問>
 

当社は繊維製品の製造を行う会社です。生産の一部を子会社に外注し、製造設備である機械及び装置をその子会社に賃貸しております。

近年、需要の低迷から本社の工場のラインを縮小しておりましたが、今期になって受注量が急に回復し子会社では超過操業の状態が続いております。

この場合、機械の賃貸人である当社が機械装置について、増加償却を行うことは可能でしょうか。
また、可能であればどのような手続きが必要でしょうか。
 

<回答>
 

貸与している減価償却資産の耐用年数は、耐用年数通達の別表に貸付業務用として特掲されているもの(例えば、貸自動車業つまりレンタカー会社用の車両等)を除き、原則として、貸与を受けている者の資産の用途などに応じて判定することになっております。

増加償却についても同様の解釈をするものと考えられますから、貴社において増加償却を行うことは下記のすべての要件を満たせば、可能と考えてよいかと思われます。

増加償却の適用を受けるためには、
1.機械及び装置であり、減価償却方法は定額法又は定率法を採用していること。

2.増加償却割合が10%以上であること。
※増加償却割合とは、35/1000×当該事業年度におけるその機械及び装置の一日当たりの超過使用時間(小数点以下2位未満の端数は切り上げ)
なお、一日あたりの超過使用時間は、次の時間のうちその法人が選択したいずれかの時間をいいます。
@個々の機械及び装置の当該事業年度における1日当たりの平均超過使用時間×(当該個々の機械及び装置の取得価額/当該機械及び装置の取得価額)
A当該機械及び装置に属する個々の機械及び装置の当該事業年度における1日当たり平均超過使用時間の合計額÷当該期末における当該個々の機械及び装置の総数

3.申告書の提出期限までに所轄税務署長に所定の届出書を提出するとともに、超過使用したことを証する書類を保存していること。
これら上記の所轄税務署長に提出する届出書は増加償却を実施しようとする事業年度毎に提出しなければなりませんので、注意が必要です。

 増加償却の要件として、超過使用をしたことを証明する書類の保存が必要とされていますが、子会社に所在する機械及び装置の使用時間を貴社において記録し、管理する必要があります。

 また、子会社においても、同様に製造設備である機械及び装置の使用時間の記録を残し、増加償却の要件を満たす超過使用時間にあることを証明する資料を整える必要があります。

 

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