ご本人やそのご家族(配偶者もしくは親族)の医療費を支払った場合、支払った年の所得税(住民税)の課税所得金額(課税対象額)から支払った医療費のうち、次の算式の金額を限度として控除できる制度のことを言います。
医療費控除額(最高200万円)=
( その年中に支払った医療費の総額−保険金などで補てんされる金額 )
−10万円(総所得金額が200万円未満の場合は、その金額の5%相当額)
生計をいっしょにしている家族(配偶者と親族に限る)に関しては、他の所得のある方の医療費でも控除の対象とできます。
遠方の大学へ通うために下宿をされているような場合、生活費の送金等があり、生計をいっしょにしていると認められる場合にはその方の医療費も控除の対象となります。
医療費控除の対象となるかどうかは、それぞれの項目毎に細かく決まっています。
医療費控除の対象は年々改正されており、昔に比べて、いろいろな費用が控除の対象と認められるようになっております。
<留意事項>
実際に、 支払をした医療費が対象となります。
例えば、平成19年中に医療機関で治療を受けた場合でも支払が平成20年になっている部分の金額は平成20年分の確定申告時(平成21年に申告)に医療費控除を受けることとなります。
健康保険組合等から支給を受ける給付金や保険契約に基づく保険金等は支出した医療費の金額から控除しなければなりません。
健康保険組合等から支給を受けるものであっても、傷病手当金や出産手当金(出産祝い金や欠勤中の給与補てん)は医療費から控除する金額とはなりません。
確定申告の期間は、対象となる年の翌年の2月16日から3月15日まで(例.平成19年分であれば、平成20年2月16日から平成20年3月17日)ですが、
給与所得や公的年金等による所得のみの者で還付を受ける申告の場合には2月15日以前でも税務署で受け付けています。
<提出する書類>
・ 確定申告書(押印する必要がありますので、認め印を持参して下さい)
・ 所得を証明・計算した書類(源泉徴収票・収支計算書・青色決算書)
・ 医療費等の領収証
・ 健康保険組合等から交付された「医療費のお知らせ」は領収証としては取り扱われません。
・ 医療費の明細書(税務署に用紙があります。)
◇ どのような医療費が医療費控除になりますか?
<控除できる費用>
・ 診療・治療の費用
・ 入院入所の費用として支払う通常の部屋代等
・ 医療用器具等の購入等の費用
・ 日常最低限の生活に必要な義手義足等の購入
・ 金歯や金冠等の健康保険の対象とならない材料を使用した場合の歯の治療費
・ 発育段階にある子供の歯ならびを矯正する費用
・ 母体保護法に基づく、妊娠中絶の費用
<控除できない費用>
・ 医師等に支払う謝礼金
・ 健康診断のための費用(例外あり)
・ 美容整形手術のための費用
・ 自己都合による差額ベッド代
・ 近(遠)視の眼鏡(治療用の眼鏡は別)、老齢者の補聴器、かつらの購入費
・ 人間ドッグや健康診断の費用
(検査の結果、重大な疾病が発見され、引き続きその治療を受けた場合には医療費控除の対象となります)
・ 診断書作成費用
<控除できる費用>
・ 腎臓病患者が自宅で使用する人工透析器の購入費用
(使用に必要な電気料等は控除の対象となりません。)
・ 人工肛門のストマ造設手術を受け、ストマ用装具代を支払った場合
(一定の証明書が必要です。)
・ 約6ヶ月以上の寝たきり状態が続いた場合のおむつ代
(医療機関の証明書が必要です。)
・ 松葉杖の購入費用
・ 医師による治療に直接必要な眼鏡
・ 白内障手術に必要な眼内レンズ
・ 糖尿病のインシュリン注射に必要な注射器
<控除できない費用>
・ 血圧計・体温計の購入費用
・ 空気清浄器・浄水器の購入費用
・ 介護用ベッドや療養に必要な特殊ベッドの購入費用
・ 自宅をバリアフリーにする改造工事
・ 車いすや身体障害者用の特殊自動車の購入費用
・ 通常の眼鏡(コンタクトレンズ)、補聴器の購入費用
・ 乳幼児のおむつ代
(入院時に病院へ支払ったものも控除できません。)
<控除できる費用>
・ 薬事法に規定する医薬品
・ 薬局等で購入する治療に必要な医薬品も控除の対象となります
例、かぜ薬・胃腸薬・きず薬
・ 丸山ワクチンの購入費用
・ B型肝炎ワクチンの接種費用(患者の介護に当たる同居の親族のみ)
<控除できない費用>
・ 疾病予防・健康増進のための医薬品
・ ビタミン剤や栄養ドリンクの購入費用
・ 予防接種の費用(例外あり)
・ 漢方薬の購入費用(医師の処方に基づくものは別)
・ 乗り物酔い止めの薬
・ ダイエット用の低カロリー食品
・ 食餌療法に基づく、自然食品等の購入費用
■ 2.医療費控除の対象ほか
◆ 領収証をどうしても、もらえなかった場合
・ 原則は、控除の対象となりませんが、もらえなかった事情を税務署でよく説明されれば控除を受けられる場合があります。
(治療を受けた人、支払先、支払金額、支払年月日等を明細を明らかにして説明して下さい。)
◆ 未払いの医療費
・ 治療を受けた年に関係なく、実際に医療費の支払をした年に控除を受けることができます。
◆ クレジットにより支払う医療費
・ クレジット会社の引き落としの日ではなく、クレジット=カードで病院等の支払を精算した年に控除を受けることができます。
◆ 消費税・地方消費税の金額
・ 医薬品の購入費用や自由診療の治療費用には、消費税等が課税されていますが、これも医療費控除の対象となります。
◆ 海外で支払った医療費
・ 海外旅行等の一時的な出国の際に、海外で支払った医療費も控除できます。支払をした日の外国為替相場で円換算して下さい。
・ 海外勤務(一時出張は除く)中に支払った医療費は控除の対象となりません。
◆ 次のような場合も控除の対象となります。
・ 夫が共働きの妻の医療費を支払った場合
・ 同居している母の医療費を支払った場合で、母は父の控除対象配偶者(扶養家族)の場合
・ 父母が、生計を一にする子供夫婦(所得あり)の医療費を支払った場合
・ 同居している夫もしくは妻の父母の医療費を支払った場合
◆ 次のような場合は控除の対象となりません。
・ 別に生計を営んでいる父母の医療費を負担した場合
(但し、別に暮らしていても子供が毎月送金する等で生活費をまかなっていて、実質的に生計を一にしている場合には、 その者の負担した医療費は控除の対象となります。)
・ 出産やお盆・年末年始に帰郷した子供や孫の医療費を負担しても控除の対象となりません。
◆ 次のような理由で、受け取った保険金等がある場合には医療費の合計金額から差し引く必要がありますのでご注意下さい。
・ 生命保険契約に基づく入院給付金
・ 損害保険契約に基づく医療保険金
・ 健康保険組合から受け取る(配偶者)出産育児一時金(その付加金を含む)
・ 支払った医療費が一定金額を超えたため、健康保険組合から高額療養費や家族療養費を受け取った場合
◆ 次のような保険金等は、医療費の合計金額から差し引く必要がありません。
・ 生命保険契約に基づいて受け取った入院給付金が、その入院のため実際支払った医療費を超えた場合、その超えた部分の金額を他の病気の医療費から差し引く必要はありません。
・ 健康保険法により、欠勤中の給与の減額分を補てんするための出産手当金は医療費から差し引く必要ありません。
・ 親族、知人、勤務先から受け取った見舞い金
◇ 入院・通院関連費用その他の付随費用
◆ 入院・通院のための費用
<控除できる費用>
・ 通常の電車・バス等の料金
・ 病状等から考えて必要不可欠なタクシー代
・ 子供の通院のための付添人の交通費
・ 遠隔地の病院でなければ治療を受けることができない場合の交通費(外国で治療を受ける場合の交通費・滞在費は含まれません。)
・ 夜間や病状により、往診を受ける場合の医師の送迎費用(タクシー代)
<控除できない費用>
・ 実家で出産するための帰省費用
・ マイカー通院のガソリン代・駐車料金
・ 入院中の子供の親が病院に通う交通費
・ 入院中の、一時帰宅の交通費
・ 転地療養のための費用や湯治の費用
◆ 入院等の費用
<控除できる費用>
・ 出産のための分娩費用や入院費用
・ 流産による入院費用
・ 入院費用に含まれる食事代
・ 病院へ支払うシーツ等のクリーニング代
(パジャマや寝巻等のクリーニング代は対象外)
・ 介護老人保健施設の利用料( 一定部分)
<控除できない費用>
・ 差額ベッド代
・ 入院中の病院外の食事代、付添人の食事代
・ 入院のための身のまわり品、パジャマ等
・ 入院中の散髪費用
・ 病院から借りたテレビや冷蔵庫の賃借料
・ 医師・看護婦への心付け・贈答金品
・ 快気祝いの費用
◆ 療養上の世話の費用
<控除できる費用>
・ 入院中、家政婦に付き添いを依頼した費用
・ 在宅療養の際、家政婦に療養上の世話を受ける費用
・ 指定訪問看護の利用料
<控除できない費用>
・ 入院中の付き添いを依頼した親族への謝礼
・ 入院中の付き添いを依頼した家政婦への心付け
・ 療養中、家政婦に依頼した家事や子供の世話の費用