当会計事務所に寄せられた質問とその回答です。
(回答者:税理士試験5科目合格者 松井智子)
(監修者:公認会計士・税理士 伊藤誠一)
<質問>
「お墓は生前から買うな!」という話を聞いたことがあるのですが、お墓を生前に準備するか死後に相続人に建ててもらうか、相続税ではどちらが有利でしょうか?
<回答>
相続税ではお墓は非課税財産とされております。したがって
@生前から買っておいた場合(すでに代金の支払い済み)
相続の時点では、相続財産中の現預金が墓地に変わり、墓地は非課税財産ですので代金相当分だけ相続税の課税価格は減ることになります。
A相続人が相続した後、墓地を購入した場合
相続の時点では、墓地は取得しておらず墓地代金は相続財産の中に含まれており、代金相当分は相続税が課されます。
また、被相続人の生前に購入したが代金が未払いの場合でも、通常被相続人の債務は相続財産から控除が認められますが、墓地購入費用にかかる未払金は債務控除が認められないので注意が必要です。
@、Aより相続税では、生前から買っておく方が有利かと思われます。
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(回答者:税理士試験5科目合格者 松井智子)
(監修者:公認会計士・税理士 伊藤誠一)
<質問>
お金は持って死ねませんので、財産を生前に子供や孫に贈与しておこう考えております。
子や孫に現金を渡そうと考えているのですが、税金はかかりますでしょうか。
<回答>
贈与税が課税されます。
お金を贈与によりもらった場合はもらった人に贈与税がかかってきます。
贈与税は1年間につき、110万円の基礎控除があります。たとえば500万円の現金をもらった場合には、500万円から110万円を引いた後の390万円に税率を適用して、53万円の贈与税がかかります。
(有利になる場合)
多額の財産があり、このまま財産を残しておいた場合、高額の相続税がかかることが予想されるような場合は、贈与しておいた方が税金は安くなる可能性があります。
しかし、万が一、贈与後すぐに相続が発生した場合は、その相続が発生した日前3年以内に贈与した財産については、相続財産として取り扱われることになりますので、贈与される方が健康かどうかも考慮してください。
お孫さん(お子様が先に亡くなっている場合を除く)など、相続が発生した場合に相続などにより財産をもらう予定のない方への贈与の場合はこの3年以内に相続がおこるかどうかの点について考慮する必要はありません。
(これはダメ?)
贈与税の基礎控除が110万円なので、111万円を毎年贈与し、111万円から110万円を引いた差額1万円の10%の1,000円の贈与税を毎年申告納付しています。
こうすると、申告していることで証拠が残り、相続が発生した場合にも問題ないと思って毎年申告していました。
これは、相続の際、極端な計画的な贈与については租税回避とみなされてしまうおそれがあります。
大学の入学時などにまとめて贈与して申告するほうが望ましいでしょう。
(相続時精算課税制度)
子供が結婚して家を買おうとしているので資金を援助しようとお考えの場合。
このような場合は相続時精算課税制度を利用すると、贈与税がかからなくなる場合があります。
通常の贈与では、一年間で110万円の基礎控除額ですが、この制度を利用すれば、2,500万円、住宅資金の場合は3,500万円まで、贈与税がかかりません。
この制度では贈与した人が亡くなった時には、この制度の適用を受けた贈与財産は、相続財産に含まれることとなり、もし、相続税の試算を行った場合に基礎控除額以下になる場合は、3,500万円までの住宅資金の贈与であれば、贈与税、相続税のいずれも課税されずに済みます。
なお、相続時精算課税制度を用いて贈与する場合には、申告期限内(贈与を受けた翌年の3月15日まで)に申告をしなければなりません。
※有利・不利は場合によって多様ですので、詳細は当会計事務所までお問い合わせ下さい。
当会計事務所に寄せられた質問とその回答です。
(回答者:税理士試験5科目合格者 松井智子)
(監修者:公認会計士・税理士 伊藤誠一)
<質問>
私は大阪市内に在住しておりますが、自宅のほか、近所に貸ガレージを所有しております。
最近、不動産業者から、この土地に賃貸マンションを建設してはどうかという提案を受けました。
相続税対策になるそうですが、なぜ対策になるのかわかりません。
<回答>
@土地の相続税評価額が下がる
路線価は公示価格の80%程度となっておりますが、相続財産のうちに土地等の占める割合が多い人にとっては、土地の価額そのものが高額ですので大変な税負担になります。
しかし、土地は、利用状況により評価減を受けることができます。 所有土地の上に賃貸マンションを建築すると相続税評価額の上で、その敷地の利用区分が更地(自用地)から貸家建付地に代わり、更地の場合より、20%〜30%程度相続税評価額の引き下げを図ることができます。
!ワンポイント=アドバイス
貸家建付地の評価
自用地の価額−(自用地の価額×借地権割合×借家権割合)
このように計算されますから、大阪国税局管内で令和2年度の規定ですと借家権割合が30%であり、借地権割合が60%の地域では、60%×30%の18%分、自用地価額より相続税評価額の引き下げを図ることができます。
(ガレージの場合は、自用地として評価します。)
A建物の相続税評価額が下がる
建物の相続税評価額は固定資産税評価額に相当する金額で評価されます。
固定資産税評価額は建物の建築価額の5割〜6割程度の評価額が目安となりますので、相続開始時に現金で同額所有されているよりも相続税評価額は下がることになります。
さらに、マンションとして建物を賃貸した場合には貸家として評価されるため自用家屋より30%程度相続税評価額の引き下げを図ることができます。
賃貸マンションを建築した場合、相続財産として同じ金額の現預金で所有している場合に比べ、7割程度評価額の引き下げを図ることができます。
!ワンポイント=アドバイス
貸家の評価
固定資産税評価額×1.0=自用家屋
自用家屋の価額−(自用家屋の価額×借家権割合×賃貸割合)
また、手持ち資金がなく、借入金で建物を取得した場合も同じ効果があります。